ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「それにしても、珍しいな。何でこのタイミングで転校してきたんだ？」

　うっ……！　いきなりその質問しちゃう⁉

　正直あまり触れて欲しくない話題だけど、５月ももうすぐ終わるっていうこの時期に転校してきた理由なんて気になるに決まって
いるもんね。

「えっと、親の仕事の都合で急に転校が決まっちゃって……」

　どぎまぎしながら、無難な理由を口にする。

　一ノ瀬くん、信じてくれるかな？　ま、まさか……私が嘘をついてるって、怪しんでなんかないよね……？

　ダラダラと冷や汗をかきながら、一ノ瀬くんの何を考えているのかわからないクールな仏頂面をうかがっていると。

「そっか。大変だったな」

「えっ……、ええ？　あっ、うん……」

　あー、よかった……。

　嘘だとバレたらどうしようってハラハラしてたけど、一ノ瀬くんがあっさり信じてくれてほっとしたよ。

　だって、私の本当の転校理由――『前の学校の理事長の息子を吹っ飛ばして、退学になりそうだったから』なんて、口が裂けても絶対に言えないんだもの。