ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「なわけないだろ」

 突然聞こえた昴くんの冷静な声が、私の不安を打ち消した。

 ハッと我に返ると、昴くんが藤崎くんを鋭く睨みつけている光景が目に飛び込む。

「俺と茉紘はちゃんと付き合ってる。以前、藤崎が『おれの前でイチャつかないで』って言ったから、イチャコラしている場面を見せていないだけだ」

「えっ? おれ、そんなこと言ったっけ?」

「お前が忘れているだけだろ。とにかく、俺たちは二人きりになったとき、少女漫画かってぐらいベッタベタに愛しあっているから。な? 茉紘」

 いきなり話を振られて、私は思わずビクッとした。

 昴くんの目が『早く』と私に返事をするよう急かしている。

 会話の流れでわかってはいたけれど、いざこうやって同意を求められると緊張するな……。

「うっ……、うん!」

 ああ、どうか嘘ってバレませんように!

 バクバクうるさい心臓の鼓動に気づかれないように、なんとか大きな声で返事をした。