きっかけ、か……。
知りたいけど、藤崎くんの心の傷をえぐるかもしれないと思ったら気が引ける。
だから、あえて聞かないでおこうと思ったんだけど、藤崎くんが自分から話して聞かせてくれた。
「その日、おれは学校のサッカークラブの試合で足を怪我をしてしまって、早めに帰って自分の部屋で休んでいたんだ。そしたら、おれのファンクラブみたいな女子たちが家に押しかけて来たんだ」
「藤崎くん、モテてたんだ」
「表向きは『サッカークラブのエース』だったからね」
藤崎くんは自嘲気味に笑った。
「でも、本当のおれはかわいいものが大好きで、趣味はファンシーなぬいぐるみや文房具を集めること。部屋の中は趣味のグッズであふれていて、そのことは家族と要しか知らない秘密だったはずだったんだけど……」
「もしかして、そのコレクションを……⁉」
「ファンクラブの女子たちに見られてしまったってわけ。まあ、それだけだったら別に良かったんだけどさ」
「どういうこと……?」
「次の日、ファンクラブの女子たちが、このことを別の子たちに言いふらしてたんだよ。『爽やかスポーツマンだと思ってた瑠夏くんが、思ってたのと違う人で幻滅した』なんて陰口を叩かれてさ。……もう、こっちが幻滅って感じ」
勝手にイメージを押し付けられて、勝手に失望されて。挙句の果てに他の子たちに自分の秘密を広められるだなんて……。
相当気の毒だし、藤崎くんが女子嫌いになるのもわかる気がする。
知りたいけど、藤崎くんの心の傷をえぐるかもしれないと思ったら気が引ける。
だから、あえて聞かないでおこうと思ったんだけど、藤崎くんが自分から話して聞かせてくれた。
「その日、おれは学校のサッカークラブの試合で足を怪我をしてしまって、早めに帰って自分の部屋で休んでいたんだ。そしたら、おれのファンクラブみたいな女子たちが家に押しかけて来たんだ」
「藤崎くん、モテてたんだ」
「表向きは『サッカークラブのエース』だったからね」
藤崎くんは自嘲気味に笑った。
「でも、本当のおれはかわいいものが大好きで、趣味はファンシーなぬいぐるみや文房具を集めること。部屋の中は趣味のグッズであふれていて、そのことは家族と要しか知らない秘密だったはずだったんだけど……」
「もしかして、そのコレクションを……⁉」
「ファンクラブの女子たちに見られてしまったってわけ。まあ、それだけだったら別に良かったんだけどさ」
「どういうこと……?」
「次の日、ファンクラブの女子たちが、このことを別の子たちに言いふらしてたんだよ。『爽やかスポーツマンだと思ってた瑠夏くんが、思ってたのと違う人で幻滅した』なんて陰口を叩かれてさ。……もう、こっちが幻滅って感じ」
勝手にイメージを押し付けられて、勝手に失望されて。挙句の果てに他の子たちに自分の秘密を広められるだなんて……。
相当気の毒だし、藤崎くんが女子嫌いになるのもわかる気がする。


