顔を上げると、さっきまでいなかったはずの御子柴くんが私のことを見下ろしていた。
いつの間に現れたんだ? この人……。
前に藤崎くんが私のことを『神出鬼没』だって言ってたけど、御子柴くんのほうがよっぽど神出鬼没だと思う。
「な、何で御子柴くんがここに……?」
「旧校舎の資料室に用があってね。それで、たまたまここを通りかかったら、一人でいる茉紘ちゃんを見つけて声をかけたってわけ」
「ふ、ふーん?」
あ、怪しい……。また私をさらったりして。
「警戒しないでよ。この前みたいにさらったりしないからさ」
そう言って微笑む御子柴くんは、私の前の席の椅子に腰を下ろすと、こちらをじっと見つめてきた。
「何か困ってるみたいだね」
「えっ⁉」
心の内を見透かしたようにサラッと言い当てられ、思わずドキッとする。
ま、まさか……御子柴くんも超能力者だったりする⁉
「な、何でわかったの⁉ 私、まだ何も教えてないよ⁉」
「茉紘ちゃんが難しい顔してたからだよ」
どうやら自分でも気づかないうちに、心の中で思っていることが表情に出ていたみたい。
「悩んでいるなら、僕に打ち明けてみなよ」
「えっ? いいの?」
「話せば楽になることもあるし、今は二人っきりでしょ?」
顎に肘をついてクスッと笑う御子柴くんに、不覚にもドキッとしてしまう。
でも、ほんの一瞬昴くんの顔が脳裏をよぎって、後ろめたさで胸の奥が苦しくなった。
あれ? ……私、何で昴くんに対して罪悪感を抱いているんだろう?
彼とは本当の意味で付き合っていないのに。
でも、今はそのことは置いといて。相談相手を買って出てくれた御子柴くんに話を聞いてもらおうかな。
彼はたしか藤崎くんの幼なじみだったし。相談してみるのもありだと思う。
「最近、藤崎くんに監視されているみたいなんだよね」
「瑠夏に?」
よほど衝撃的だったのか、御子柴くんは目を丸くした。
「えっ? それマジ?」
「マジなの! 休み時間になる度に、ものすっごい形相で私のことをガン見してくるんだよね。でも、」
「へぇ、女嫌いのあいつにしては珍しいね……」
ああやっぱり、藤崎くんって女嫌いなんだ。
だとしたら余計に、彼が私を見張りにくる理由がわからない。
「藤崎くんってば、いったい何を考えてんだろ……」
答えの見えない疑問にため息をついていると――。
いつの間に現れたんだ? この人……。
前に藤崎くんが私のことを『神出鬼没』だって言ってたけど、御子柴くんのほうがよっぽど神出鬼没だと思う。
「な、何で御子柴くんがここに……?」
「旧校舎の資料室に用があってね。それで、たまたまここを通りかかったら、一人でいる茉紘ちゃんを見つけて声をかけたってわけ」
「ふ、ふーん?」
あ、怪しい……。また私をさらったりして。
「警戒しないでよ。この前みたいにさらったりしないからさ」
そう言って微笑む御子柴くんは、私の前の席の椅子に腰を下ろすと、こちらをじっと見つめてきた。
「何か困ってるみたいだね」
「えっ⁉」
心の内を見透かしたようにサラッと言い当てられ、思わずドキッとする。
ま、まさか……御子柴くんも超能力者だったりする⁉
「な、何でわかったの⁉ 私、まだ何も教えてないよ⁉」
「茉紘ちゃんが難しい顔してたからだよ」
どうやら自分でも気づかないうちに、心の中で思っていることが表情に出ていたみたい。
「悩んでいるなら、僕に打ち明けてみなよ」
「えっ? いいの?」
「話せば楽になることもあるし、今は二人っきりでしょ?」
顎に肘をついてクスッと笑う御子柴くんに、不覚にもドキッとしてしまう。
でも、ほんの一瞬昴くんの顔が脳裏をよぎって、後ろめたさで胸の奥が苦しくなった。
あれ? ……私、何で昴くんに対して罪悪感を抱いているんだろう?
彼とは本当の意味で付き合っていないのに。
でも、今はそのことは置いといて。相談相手を買って出てくれた御子柴くんに話を聞いてもらおうかな。
彼はたしか藤崎くんの幼なじみだったし。相談してみるのもありだと思う。
「最近、藤崎くんに監視されているみたいなんだよね」
「瑠夏に?」
よほど衝撃的だったのか、御子柴くんは目を丸くした。
「えっ? それマジ?」
「マジなの! 休み時間になる度に、ものすっごい形相で私のことをガン見してくるんだよね。でも、」
「へぇ、女嫌いのあいつにしては珍しいね……」
ああやっぱり、藤崎くんって女嫌いなんだ。
だとしたら余計に、彼が私を見張りにくる理由がわからない。
「藤崎くんってば、いったい何を考えてんだろ……」
答えの見えない疑問にため息をついていると――。


