ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

 どうやらこの子たちは全員、昴くんの熱狂的なファンらしい。

 実際、休み時間になるたびに、廊下の窓から彼女たちが昴くんを覗きに来てキャーキャー騒いでいるのを何度も見かけたことがある。

 そんな彼女たちにとって、自分たちの“推し”に彼女ができたこと――しかも相手がぽっと出の転校生である私だなんて、よほど気に入らないんだろう。

「昴くんはみんなのものなのに、勝手に独り占めしやがって!」

「絶対に許さない!」

 怖っ‼ 全員、めっちゃ怒ってるじゃん‼

 もし私がこの子たちにつかまったら、昴くんと付き合った理由を説明するだけで済まないだろうな。

 下手をすれば、彼女たちの気が済むまで、ボロボロにされるかもしれない。

 それにしても、さっきから走りっぱなしで、だいぶ疲れてきたな……。

 そういえば、この先の角を曲がった場所って、いつも人気が少ないはずだ。

 もう四の五の言ってる場合じゃない。ここは超能力を使って休憩しよう。