ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

 御子柴くんは楽しそうに笑っていた。

 でも、その笑顔の裏が読めないどころか、背筋が凍るような悪寒を感じるのは絶対気のせいじゃない。

『敵なんだよ!』

 こんなときに限って昴くんの緊迫した声が脳裏によみがえって、全身から血の気が引いていく。

「何で、私をさらったの……?」

「だってきみ、転校早々一ノ瀬の彼女になったんだろ? あの堅物の彼女がどんな子か、興味湧くに決まってるじゃん」

 不敵な笑みを浮かべた御子柴くんが、私の顎を指でつまんで持ち上げる。

 ど、どうしよう……。このままじゃ絶対ヤバいことになる予感しかない!

 もういっそのこと、瞬間移動を使って逃げたほうがいいかな?

 いや、ダメだ……。

 Antaresのメンバーが大勢いる前で一瞬で姿を消せば大騒ぎになるに決まってる。

 私が超能力を使えることがバレると大騒ぎになるのは確実だ。

 どうしよう。私はいったい、どうしたら……。

――バタンッ‼

「茉紘っ、大丈夫か⁉」