ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「もしかして、Monocerosの総長と知り合いなんですかっ?」

 昨日会った藤崎くんの顔が頭の中に浮かんで、つい食い気味に聞いた。

「知り合いどころか、俺と瑠夏は保育園からの幼馴染だよ」

 ……なるほど。だから、下の名前で呼び捨てで呼んだわけね。

「へえ、そうだったんですね……」

「『ですね』って、敬語はいいよ。俺たち同い年なんだから」

「えっ? じゃあ、会長も2年生……?」

「ああ。僕はA組の御子柴(みこしば)(かなめ)。ちなみに、この黒崎学園の生徒会長とAntaresの総長を兼任しているよ」

 Antares――昴くんが言ってた、生徒会役員で構成された暴走族チームだ!

 ってことは、ここにいる人たち全員がAntaresのメンバーっていうわけね。

 でも、こんな穏やかな笑顔のイケメンが暴走族の総長なんて、やっぱり信じられない……。

 まさに『人は見かけによらない』という言葉が、ぴったりと当てはまる。

 ん? じゃあ、なんで御子柴くんは、別のチームに所属する私をここに連れてきたんだろう?

「あの、御子柴くん」

「ん?」

「何で私をここに連れてきたの?」

「連れてきたんじゃなくて、さらったんだよ」

「さ、さらった⁉」