ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

 一ノ瀬くんの発言に、私は思わず聞き返してしまった。

「どういうこと……?」

「さっき、『彩城と俺が付き合ってる』って噂が学校中に広まってるって分かっただろ?」

「あっ、うん!」

「あそこまで噂が広がってるってことは、彩城が他のチームに目をつけられてる可能性がある。『総長の彼女』ってだけで、チームの弱点になり得るからな」

「ひっ! こっ……怖がらせないでよ!」

 ほんの一瞬。ギラギラした目で私を追う大勢の不良たちのイメージ映像が頭の中に浮かんで、全身に寒気が走った。

「安全に学校生活を送りたいなら、俺の彼女のフリをしてRegulusに加入するしかない、ってことだ」

「……ううっ」

 どのみち私は、危険な暴走族の世界に飛び込むしかないってことか。

 ……転校した時点でそんな運命だった気もするけどさ。

「安心しろ」

 うつむく私の頭の上から、優しい声が降ってきた。

 顔を上げると、一ノ瀬くんが私をまっすぐに見つめていた。

 視線がぶつかったとたん、クールな無表情を崩して、ふっと私に笑いかけてくる。

「俺が全力で彩城を守る。お前が少しでも平和に過ごせるようにな」

『守る』って、初めていわれたな。

 今までそんな言葉をかけられたことなんてなかったから、不覚にもドキッとしちゃったよ。