「えっと、彩城茉紘です……」
一ノ瀬くんに対する怒りと、本物の暴走族を前にした恐怖。
2つの気持ちを隠すように、作り笑顔で深々とお辞儀をしたちょうどそのとき。
「あのー、昴さん」
一ノ瀬くんを呼ぶボーイソプラノが、静かな部屋に響いた。
顔を上げると、あどけない顔つきの1年生らしき男の子がそろそろと片手を挙げている。
「どうした?」
「もしかして、その女の子って……昴さんの彼女さんなんですか?」
かっ……、彼女⁉ 何でいきなりそういう話になるのかな⁉
私はただ、一ノ瀬くんの隣に立ってるだけじゃん……。と心の中でぼやいていると。
「そういえば俺、昴さんに彼女がいるって話、教室でちょろっと聞いたな」
別のRegulusのメンバーがぽつりと呟いたのを皮切りに、第三音楽室が一気に私と一ノ瀬くんが付き合っているという話で持ち切りになる。
「俺も聞いた! あと、友達が話してたんだけど、茉紘さんがMonocerosの総長に絡まれてたところを、昴さんが颯爽と現れて助けてるの見たってさ」
「マジで⁉ 昴さんかっこ良過ぎだろ!」
「しかも藤崎、『イチャつくな』って文句言って、しっぽを巻いて逃げたってな」
「昴さんにかわいい彼女ができるなんて……。まあ、茉紘さんなら納得だな」
なるほど……。中庭で起こったあの一件で、私が一ノ瀬くんの彼女だというウワサが広まってしまった……というわけか。
藤崎くんも『今後はおれの前でイチャつかないでよね!』なんて言ってたことだし、デマが広がるのもわからないでもないけどさ……。
この件に関して、一ノ瀬くんはどう思っているんだろう?
自分の知らないうちに、私という彼女がいるなんて誤解されて、不名誉なウワサを立てられて……内心かなり困っているのかもしれない。
そう思ったら、今はわいわいと盛り上がっているRegulusのメンバーたちの誤解を解かなくちゃ。
「あっ! あの、そのことなんだけどっ……」
私がRegulusのみんなに本当のことを説明しようとした次の瞬間。
一ノ瀬くんに対する怒りと、本物の暴走族を前にした恐怖。
2つの気持ちを隠すように、作り笑顔で深々とお辞儀をしたちょうどそのとき。
「あのー、昴さん」
一ノ瀬くんを呼ぶボーイソプラノが、静かな部屋に響いた。
顔を上げると、あどけない顔つきの1年生らしき男の子がそろそろと片手を挙げている。
「どうした?」
「もしかして、その女の子って……昴さんの彼女さんなんですか?」
かっ……、彼女⁉ 何でいきなりそういう話になるのかな⁉
私はただ、一ノ瀬くんの隣に立ってるだけじゃん……。と心の中でぼやいていると。
「そういえば俺、昴さんに彼女がいるって話、教室でちょろっと聞いたな」
別のRegulusのメンバーがぽつりと呟いたのを皮切りに、第三音楽室が一気に私と一ノ瀬くんが付き合っているという話で持ち切りになる。
「俺も聞いた! あと、友達が話してたんだけど、茉紘さんがMonocerosの総長に絡まれてたところを、昴さんが颯爽と現れて助けてるの見たってさ」
「マジで⁉ 昴さんかっこ良過ぎだろ!」
「しかも藤崎、『イチャつくな』って文句言って、しっぽを巻いて逃げたってな」
「昴さんにかわいい彼女ができるなんて……。まあ、茉紘さんなら納得だな」
なるほど……。中庭で起こったあの一件で、私が一ノ瀬くんの彼女だというウワサが広まってしまった……というわけか。
藤崎くんも『今後はおれの前でイチャつかないでよね!』なんて言ってたことだし、デマが広がるのもわからないでもないけどさ……。
この件に関して、一ノ瀬くんはどう思っているんだろう?
自分の知らないうちに、私という彼女がいるなんて誤解されて、不名誉なウワサを立てられて……内心かなり困っているのかもしれない。
そう思ったら、今はわいわいと盛り上がっているRegulusのメンバーたちの誤解を解かなくちゃ。
「あっ! あの、そのことなんだけどっ……」
私がRegulusのみんなに本当のことを説明しようとした次の瞬間。


