「何だよ。だったら最初から素直に認めればよかったのに」
頭の上から一ノ瀬くんの声が降ってきた。
心底呆れてるみたいだけど、この人全然わかってない。
「そんなに簡単な話で済んだらいいよね……」
私はスッと顔を上げ、フフッと引きつった笑みを浮かべる。
たぶん、それが一ノ瀬くんの目には不気味に映ったのだろう。
「……どういうことだ?」
と怪訝そうにたずねてきた。
「一ノ瀬くん。もし……私が超能力者だってことがほかの誰かに知られたら、いったいどうなると思う?」
「どうなるって……」
「学校中でウワサになって、気味悪がられて……。挙句の果てに、悪いことに利用されたり巻き込まれるかもしれないってこと」
脳裏に前の学校での苦い記憶がよみがえる。
できることなら、忘れてしまいたい記憶だからこそ、もう二度とあんな思いをしたくないんだ。
「あー……、たしかにそのリスクはあるかもな」
一ノ瀬くんはというとたじろぎながらも、私の説明をちゃんと理解してくれたみたいだ。
「でしょ? だから、私が超能力者だってことを内緒にしてて欲しいんだ。お願い!」
私はパンッと手を合わせて必死に頼み込む。
どうかな? 大丈夫かな……? チラッと彼の様子をうかがってみると……。


