ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「彩城⁉」

 一ノ瀬くんが慌てて私の体を支えると、心配そうに顔をのぞき込んでくる。

 今さらつくづく思うけど、さっきから一ノ瀬くんには助けられてばっかりだ。

「さっきのこと、ありがとうね」

「別に。ってか、本当に大丈夫か? 怪我とかしてないか?」

「えっ、怪我⁉ 全然!」

私が手を横に振ると、一ノ瀬くんはほっとため息をついた。

「ならいいけど……」

「どうして?」

「さっきのやつ、隣のC組の藤崎瑠夏(るか)ってやつで、Monocerosの総長なんだよ」

「そうなの⁉」

 あの綺麗な男の子が、黒崎学園の暴走族派閥のうち一つのリーダーだなんて……。

 いまいち信じられないけど、そんなにすごい人だったんだ。