ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「へ……?」

 はたと顔を上げると、ムスッとした顔で腕を組む藤崎くんに「わかんないの?」と怒られてしまった。

「や、だからもういいって言ったんだよ。ってか……マジで見苦しいから、今後はおれの前でイチャつかないでよね!」

 私たちに文句をぶつけた藤崎くんは、くるりときびすを返すと、この場から走り去っていった。

 なんだか嵐みたいな人だったな……。

 小さくなっていく藤崎くんの背中を見送ったとたん、私の中でピンと張り詰めていた緊張感がプツンと切れる。

「たっ、助かったあぁぁ……!」

 はあっと大きなため息をついた私は、その場にへなっと座り込んでしまった。