ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「藤崎(ふじさき)、彼女のことは許してやってくれないか」

「はぁ？　何でお前に許せとか言われなきゃいけないわけ？」

　藤崎と呼ばれた金髪の男の子はムッとして、一ノ瀬くんをギロッと睨みつけた。

「彩城は木から降りられなくなった猫を助けようとしたところ、足をすべらせて藤崎の上に落ちただけなんだ」

　私は目を見開いた。

　一ノ瀬くんの言っていることは嘘だ。

　だけど、まるでその場の出来事を生で見ていたかのように自然と嘘をつく彼に、私は驚きを隠せない。

「ふーん。猫ねぇ……？」

　藤崎くんは、いったん納得したようにうなずいて、私に疑いの目を向けてくる。

　や、ヤバい……！　このままだと嘘ってバレるかも。

　せっかく一ノ瀬くんが庇ってくれたんだから、上手く話を合わせなきゃ！

「そ、そうなの！　気づいたら木の上から落っこちちゃっただけで……。でも、嫌な思いをさせちゃって、本当にごめんなさい！」

　がばりと深く頭を下げて藤崎くんに謝った。

　すると、「別に……」というボソッと呟くようなかすかな声が、私の頭の上に落ちてくる。