ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「やめろ。怖がってるだろ」

 聞き覚えのある声が頭上から降ってきた。

 目を開けた次の瞬間。すらっとした長い腕が伸びてきて、金髪の男の子の前をふさぐ光景が映り込む。

 誰……?

「一ノ瀬、くん……?」

 私の視線の先には、さっきまで屋上にいたはずの一ノ瀬くんがいた。

「な、何でここにいるの⁉」

「そんなの、彩城を探しに来たからに決まってるだろ」

 目をしばたたかせて質問する私に、一ノ瀬くんが小声でそう答えた。

 直後、いきなり体がぐんと何かに引き寄せられる感覚がする。

 ――気づけば私は、一ノ瀬くんの胸に顔をうずめていた。

 なんだろ、この状況……。

 守られているような気もするけど、これって……傍から見たら、私が一ノ瀬くんに抱きついてるみたいじゃない⁉

 だからかな。金髪の男の子の冷ややかな視線が痛い……。