ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「ねえ、重いんだけど」

 突然、ぶっきらぼうな声が私目がけて飛んできた。

 何? 『重い』って私のこと?

 失礼だなー。私、これでも細いほうなんだってば! とムカッときたそのとき。

「自覚ないの? あんた、おれの上に乗ってんだけど」

「へ……?」

 乗ってる? どういうこと? わけがわからないまま、ゆっくりと視線を下にずらすと、なんということでしょう。

 芝生の上で仰向けに寝転んでいる男の子を、下敷きにしているではありませんか。

「ご、ごめんなさい!」

 私は慌てて男の子の体から飛び降りると、ペコペコと平謝りにあやまった。

 男の子はというと、立ち上がるなり「はーっ……」とあからさまなため息をついて、くせっ毛の金髪をボリボリとかいて。

「ごめんなさいと言えば済むとでも思ってんの?」

 こちらに視線を寄こすなり、ギロッと私を睨みつけた。

 猫のように大きな目と中性的な美貌が相まって、その表情にはぞっとする迫力があった。

 綺麗な人の怒った顔って怖い……。

 心の中でそんな感想を抱いた私は、猫に睨まれたネズミみたいに縮み上がる。