ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「で、やっぱり彩城は超能力者なのか?」

 黙り込む私をじーっと見つめる一ノ瀬くんは、今かいまかと次の言葉を待っている。

 さて、どうしよう。

 もう正直に、『私は超能力者です』って打ち明けちゃったほうがいいのかな……?

 いやでも、私の秘密を一ノ瀬くんだけにカミングアウトしたことで、どこかでこの話がもれて学校中が大騒ぎになるかもしれない。

 それに、嘘をついたらついたで、かえって一ノ瀬くんにしつこく聞かれて、面倒なことになりそうだ。

 こうなったら、茉紘――ノーコメントで逃げる一択しかない!

 自分自身にそう言い聞かせるなり、私はくるっときびすを返した。

 そして、脱兎のごとく屋上の出入り口へダッシュしようとした、……はずだったのに。

「待て」

 背後から手首をがしっとつかまれた。

 直後、強い力でぐいっと後ろに引っ張られて、足元のバランスがぐらっと崩れた。

「うわっ⁉」

 たっ、倒れる……!