ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

 今ここで? 絶対に使えるとは思えないけど、試しにならやってみようかな。

 とりあえず、私は心の声で昴くんに呼びかけた。

(昴くん、聞こえる?)

 それから、昴くんの心の声に意識を集中させる。すると、頭の中に昴くんの声が響いてきた。

(聞こえたぞ。『昴くん、聞こえる?』 だろ?)

 うそっ、ちゃんと届いてる!

 しかも、読心術まで使えてる……!

(何でいきなり使えるようになったんだろ……?)

(きっと、成長したんだよ。昔は全然できなくても、今はできるようになったりするだろ?)

 昴くんが言った『成長』という言葉に、私はハッとした。

 そうだ。私は最初から上手く超能力を使いこなせたわけじゃない。

 超能力が発動したばかりのころは、スプーンを宙に浮かせるだけで1秒も持たなかった。

 練習と時を重ねていくうちに、自由自在に空中に浮かせて操れるぐらい使えるようになったんだ。

 心の声に関する超能力は、習得にかなり時間がかかったけど……それでも、成長したからこそ使えるようになったんだな。

 なんて、感動している場合じゃない。