ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「私、知ってるよ。……昴くんが瞳ちゃんとお見合いして、婚約してるって……!」

 声に出した瞬間。目の前の昴くんが今にも私の元を離れて瞳ちゃんと一緒になって、遠くに行ってしまうような気がしてたまらない。

「ひっく、ううっ……」

 気づけば私は、昴くんにすがりついて泣きじゃくってた。

 最初はただの契約上の関係だったはずなのに。彼がいつか私の元を去って、別の女の子と一緒になると考えるだけで涙が止まらなくなる。

「昴くん、どこにも行かないでっ……」

 嗚咽を漏らす私は、なんてはた迷惑な言葉を口にしているんだろう。

 彼女面して、昴くんにしがみついたって仕方ないのに。ただ、彼を困らせてしまうだけなのに……。

「大丈夫」

「え……?」

 頭の上に落ちてきたのは、想像していた困惑しきって疲れたような声ではなく、私をなぐさめるあたたかな優しい声。

 それにハッとして顔を上げると、昴くんが穏やかな眼差しで私をじっと見つめていた。

「安心しろ。俺はちゃんと茉紘のそばにいる」

 そう言って、目の縁にたまっていた涙を指でぬぐった昴くんは、しばらく私のことをぎゅっと抱きしめてくれた。