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また新な週が始まるというのに、私の足取りはとても軽い。
いつもより早起きして一番乗りした教室は、勿論静かで。他のクラスからも声はしなく、自分が立てる音がやたらと大きく聞こえる。
「……ちょっと早く来すぎたかな」
座り、窓の外を見つめると……ゆっくり教室の扉が開く音がして。
「おはよ、夜」
学校モードの先崎くんが入ってきた。
「おっ、おはよ、先崎くん」
そうだった……先崎くんは『夜って呼ぶね』って言われたんだ。自分の名前なのに、なんだかむずがゆいな……。
先崎くんが席につく最中、俯いて夜呼びをかみしめる。──ってかみしめてる場合じゃないっ。
私はスマホを手に、先崎くんの前の席の椅子を反転させ座った。
「今日は夜から来てくれるんだ」
「この前は先崎くんから来てくれたから」
昨日、もらったメッセージでゲームをしないかと誘われてこの状況に至る。
今日の日直は先崎くんだから。気持ちちょっと早く来たから、前よりも少しだけ長く出来る。
「俺、強くなった自信ある」
「お、練習したんだね?」
「した。この前は負けばっかだったけど、今日は簡単に勝たせないよ?」
「楽しみ!」
そう笑いあって、2度目のゲーム時間を私たちは過ごした──



