「……どうして?」
名前のことを聞かれるとは思ってなかったから、少しオーバーに目を見開き驚いてしまった。でも、なんとか冷静を装う。
「なんとなく。他の人が名前呼びした時、顔が強ばってるように見えてたから……」
勘違いだったらごめん、と。
私、そう思わせるような顔してたのかな。
「でも答えなくても、大丈──」
私は首を振った。
先崎くんは、自分のことを話してくれたんだから。私も──
「ううん、私も自分のこと先崎くんに聞いてもらいたい。……聞いてくれる?」
「……勿論」
胡座から膝を抱えるように座りなおす先崎くんに、一呼吸置いてから私は自分の話をしはじめた。
「……私、小学生の頃同じクラスだった子に、ある日あだ名をつけられたの。でもとても喜べるあだ名じゃなかった──」
話すと決めたのに、切り出すとこうも気持ちが重く感じるなんて……
でもそれは先崎くんも同じだったはずだ。
「黒羽夜子は──黒魔女、闇子……夜になると黒い羽がはえる魔女になる……黒魔女が夜に産んだ子供。だから夜子なのだと」
言葉にするとやはりどれもいい意味には感じない。



