「俺……この間、元は不良だって言ったじゃん?でも、それしか言ってないからさ」
「私が聞いていいの?」
むしろ、それだけでも私は全然十分というか……どんな感じだったとか、掘り下げた話は本人からしたら聞かれたくないんじゃないかって思うから、教えて欲しい!知りたい!って気持ちはあまりなかったんだけど……
不良だったって言った時も。
決して言いやすいことではないはずだし。
「黒羽さんが、聞いてくれるなら……俺は話したいって思う」
「……嫌、じゃない?」
私にカミングアウトしたからって、過去を話さなきゃってことにはならないし、無理はしないでほしいっていうのが本音。
だけど、
「嫌じゃないよ。無理もしてない」
と、先崎くんは私を見据えて言うから、静かに"わかった"という意味で頷く。
そして少し間をあけてから、先崎くんは過去のことを切り出した──
「中学ん時は、学校自体が荒れたとこで……まぁ俺も毒されたというか、流れみたいなものでヤンチャになってさ」
「うん」
「喧嘩とかしたことなかったけど、腕っぷしはそれなりだったみたいで、気付いたら学校の1、2を争うような奴に自分がなってて」
先崎くんの持つグラスから、水滴が落ちていく。



