ワケアリ無気力くんが甘いです


でも、お兄さんは一瞬にして困ったような表情に変わり、先崎くんを見つめると……その意味が分かったのか、先崎くんは軽く首を振った。


「黒羽さんには言った。広めるような子じゃない」


困った視線に優しく答える先崎くん。
すると、私はお兄さんと目が合い……両手をとられた。

──!?

そして、満面の笑みで……


「玄関入ってすぐ階段上がった右側が優麗のお部屋でっす!」
「え?」
「何勝手にばらしてんの」
「いいじゃない!」
「いいけど」


いいんだ……、


「私は接客あるけど、優麗のお部屋で楽しんでっ。私のことは(のぞみ)ちゃんって呼んでね!」
「呼ばなくていいからね……んじゃ、一応兄貴の紹介が終わったし、キーホルダー買ってから……あ、兄貴これ会計」


私の手からキーホルダーを抜き、接客に戻ろうとしたお兄さんに声をかける先崎くん。


「お・ね・え・ちゃんって呼びなさいよ!」
「はいはい、お・に・い・ちゃん」


キーホルダーを揺らし、急かす先崎くんにお兄さんはまた膨れっ面でカウンターへ。


「はやく会計してよ。待たせちゃうから」


本当に私、先崎くん家にあがるの?
お店だけじゃなくて……?


「……あ、先崎くんお金──!」