──一体どこに行ったん……いたっ!
屋上前の階段に俯いて座る男子生徒を見つけ、咄嗟に隠れる。
さりげなく覗きながら様子を伺っていると、ウルフ髪の男の子と不意に目があってしまった。
明らかにばれてしまい、顔をしっかり出せば、長めの前髪から見えた目で男子生徒に『何?』と、うったえられる。
「えっと……」
どうしよう、同じ学年だけど名前知らなかった。
地味に気まずい状況になり、目を泳がすと彼の鞄についていた"Y SENZAKI"と書かれたクマのキーホルダーに目がいく。
「あー……たまたま、せ、先崎?くんの姿が見えたから、教室間違えたのかなぁ……と」
「……そう」
また俯いてそっけなく返事を返された。
これはどうしたものか。
「大丈夫そう、なら私は教室に戻るけど……」
立ち上がって降りる素振りを見せれば、
「大丈……ばない」
「え?」



