ワケアリ無気力くんが甘いです



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机を挟み向かい合う私と藤田くん。
未だおかずの残るお弁当を広げっぱなしにしたまま、聞きたかったことを読まれたことに驚く。


「え、えっと……」
「ヤコちゃんは、先ちゃんの素顔が気になるの?」


だから何でわかるんだろ。
笑顔だけどちょっと怖い気もする……本当に何も聞いてないのに当ててくるから。


「いや、まぁ……お昼に見かけたことないなぁなんて思って」


不思議に思いつつも目を泳がしながら遠回しに聞いてはみる。とりあえず。
すると、藤田くんは前のめりになり私へ顔を寄せた。


「っ!」

「先ちゃんはね……」


至近距離に口を固く結び、教えてくれるのか、ちょっとした期待感を抱きながら待つこと数秒……


「イケメンでーす!ぱちぱちっ」
「……え、あぁ」


やっぱり……はぐらかされた。
というより、からかわれたと言うべきかな。藤田くんのキャラからすると。

ま、いっか……と私は肩をおとしてお弁当のラスト一口を含んだ。