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次の日──
教室に入る前に深呼吸、深呼吸っ。
昨日の今日でどことなく気まずい気がして……でも知らん顔すれば大丈夫だよね。
大丈夫、大丈夫……言い聞かせるように唱えながら、いつも通り開いていたドアから少し俯きつつ教室へ。
「あ、ヤコちゃんおはよー!」
「おはよ、かんちゃ……っ!」
かんちゃんに挨拶を返した途中、すでに座って頬杖の先崎くんと目があった私。
一瞬にして笑顔が固まるもすぐそらしてしまった。
「どったの?」
不思議そうに私を見るかんちゃん。
「ううん!何でもないっ」
首を振って鞄を机横にかけ、足早に私は教室を出た。



