ワケアリ無気力くんが甘いです



**


休日、ショッピングモールに私とかんちゃんは遊びに来ていた。
ウィンドウショッピングをしたり、ちょっと話したり、してるだけで時間はあっという間に過ぎて。


「んじゃヤコちゃん、また明日ね!」
「うん、また明日」


電車で帰るかんちゃんに手を振ると、大振りで返され、私も負けじと大振りで振り返し、笑いあってお互い背を向けていく。


──あー、楽しかった。


また明日から授業があると思うと、嫌になるけど、こればかりは仕方ない。
でもかんちゃんと遊んでからと、課題をしていなかったから、帰ったらそれが待っているんだった。
数学のプリントだっけか。
……やりたくないなぁ。


人目を気にせずやりたくなさを顔に出していれば、車や人が行きかうなか、少し前の警察署から出てきた男の人に目がいった。

片耳にピアスがたくさん。
ネックレスに指輪もしてある。
黒マスクに黒髪のハーフアップ。

静かな中に派手さがある……みたいな感じの人だ。


「……あ」


こっちきちゃった。

反射的に道の隅の方に寄り、男から距離を取って進む。
足早にすれ違おうとした時……


「ヤ……黒羽さん?」


や?というより、まさか声をかけられるとは……って、ん?
なんで私の名前──

そう思うもとりあえず無視するわけに行かず、男の人を見れば冷や汗がにじむ。


「え、あのっ……ど、どちら様で……?」


私、絶対今ひきつった顔をしてる。
笑顔とまではいかないにせよ、失礼にならない程度に笑みは見せているつもり。

しかしそう尋ねた私に、男の人は気まずそうに頭を掻いた。


「あー……えっと……先崎、です」


え?


「……えっ!?」


辺りに私の声が響いた──