**
休日、ショッピングモールに私とかんちゃんは遊びに来ていた。
ウィンドウショッピングをしたり、ちょっと話したり、してるだけで時間はあっという間に過ぎて。
「んじゃヤコちゃん、また明日ね!」
「うん、また明日」
電車で帰るかんちゃんに手を振ると、大振りで返され、私も負けじと大振りで振り返し、笑いあってお互い背を向けていく。
──あー、楽しかった。
また明日から授業があると思うと、嫌になるけど、こればかりは仕方ない。
でもかんちゃんと遊んでからと、課題をしていなかったから、帰ったらそれが待っているんだった。
数学のプリントだっけか。
……やりたくないなぁ。
人目を気にせずやりたくなさを顔に出していれば、車や人が行きかうなか、少し前の警察署から出てきた男の人に目がいった。
片耳にピアスがたくさん。
ネックレスに指輪もしてある。
黒マスクに黒髪のハーフアップ。
静かな中に派手さがある……みたいな感じの人だ。
「……あ」
こっちきちゃった。
反射的に道の隅の方に寄り、男から距離を取って進む。
足早にすれ違おうとした時……
「ヤ……黒羽さん?」
や?というより、まさか声をかけられるとは……って、ん?
なんで私の名前──
そう思うもとりあえず無視するわけに行かず、男の人を見れば冷や汗がにじむ。
「え、あのっ……ど、どちら様で……?」
私、絶対今ひきつった顔をしてる。
笑顔とまではいかないにせよ、失礼にならない程度に笑みは見せているつもり。
しかしそう尋ねた私に、男の人は気まずそうに頭を掻いた。
「あー……えっと……先崎、です」
え?
「……えっ!?」
辺りに私の声が響いた──



