席に戻ると、かんちゃんはケーキを取り行ったのかいなくて、先崎くんもまだいなかった。
脱力するように座り、自分のケーキ皿を見つめ、ポツリと呟く。
「ゲームしたい……」
「ゲーム?」
返ってきた返事にハッとして顔を上げれば、
「せ、先崎くんっいつの間に……」
「今の間に。で?何のゲーム?」
頬杖をつく先崎くんの姿があって。
音しなかったから、全く気付かなかった。
「えっと……格闘」
独り言を聞かれていたことに恥ずかしくなりながら答えれば、先崎くんは目を丸くする。
「意外」
ですよねぇ……
「何で格闘なの?」
「こう……サバサバな人と話すのとか苦手で、ストレスがちょいとたまるというか。私、どちらかというと陰属性だし」
「それわかる。俺も陽キャ苦手だし」
クスッとほんのうっすらマスク越しに笑った。
あ……はじめて見たかも先崎くんが笑ったとこ。目だけしか分からないけど。
「じゃあ今度やろうよ、格闘ゲーム」
「え?先崎くんもやるの?ゲーム」
「俺、割りと強いよ」
先崎くんは頬杖のまま、もう片方の手でピースをつくった。
「じゃあ今度お手合わせね」
「うん、約束」



