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『やーい、やーい黒魔女!』
『闇子だ!』
『あいつ、夜になると黒い羽がはえるらしいぜ』
こわーい――心ない声が私にむけられる。
子供姿の私の背に、わざとらしく声をかける同じく子供の黒いシルエット。
目と口が、私を見て笑い、遠ざかっていく。
──ピピピッ、と目覚ましの音でゆっくり目を開けた。
また、あの頃の夢──
目覚ましを止め、ため息まじりに片手で顔を覆う。
この夢、いつまで見続けるんだろ……。
「……準備、しなきゃ」
夢見が悪かったのを切り替えるように首をふり、起き上がる。
制服に着替えた私は浮かない顔で部屋をあとにした。



