ワケアリ無気力くんが甘いです



▶▶



『やーい、やーい黒魔女!』

闇子(やみこ)だ!』

『あいつ、夜になると黒い羽がはえるらしいぜ』


こわーい――心ない声が私にむけられる。



子供姿の私の背に、わざとらしく声をかける同じく子供の黒いシルエット。

目と口が、私を見て笑い、遠ざかっていく。





──ピピピッ、と目覚ましの音でゆっくり目を開けた。


また、あの頃の夢──

目覚ましを止め、ため息まじりに片手で顔を覆う。

この夢、いつまで見続けるんだろ……。


「……準備、しなきゃ」


夢見が悪かったのを切り替えるように首をふり、起き上がる。
制服に着替えた私は浮かない顔で部屋をあとにした。