すべてはあの花のために➓

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「……ということで、オレを最初に殺してください」


 卒業式のリハが終わったあと、オレらはまた先生の部屋に集まって会議。アオイも入れてるから、時間帯はやっぱり夜中の2時だけど。「どういうこと!?」とみんなから揃って声が上がった。


「え? だから、オレを最初の標的になるように上手く話を持って行ってくださいって言ってるんですよ」


 アオイがオレのことを『願い』のためにすくってくれたとしても、オレが酷いことをし続けているのに変わりはない。
 ……オレの汚れはもう、落ちることはないから。


「ちょっとわけあって。あいつはもうオレが裏切り者だと知ってます」

「え? それってどういう……」

「まあ、オレも『願い』だったってことですよ。ね? 理事長」

『最初から私は言っていたよ』

「てっきりハルナのことだけだと思ったんですよ。……まさか母さんもだったなんて知らなくて」

『……君も、助けてもらえたみたいでよかった』


 本当にまさかだ。今、こんなにも心が軽いのが嘘みたい。
 ……まあ、それも『過去』の話だ。


「なので、そこを上手く使わない手はないかと思うんです」

「でも、そうしたらまた九条くんが悪者になってしまうわ?」

「ま、道連れにはしますけどね」


 だってもう、時間もないんだ。こちらをギリギリまで攻めさせないといけない。


「アオイ。オレ昨日、あいつから話を聞いたりカードを解いたりして思ったんだけど」

『ん? 何?』

「あいつ、自分がしてきたことは絶対オレらに言わないつもりでしょ。隠さなくてもわかるよ。あれだけで十分。オレらじゃなくても、多分誰にも話すつもりなんかないんでしょ」

『…………』

「まあ、そういうことなので。もうごろっと作戦を変えようと思います」


 なのでと言っても、オレの考える道筋なだけだけど。


「全部言っちゃいましょう。“お前に味方などいない状態“を、ガッツリ作らせようと思います」

『そ、それってまさか……』

「うん。あいつにはもう後がないと思わせることで、話をしてもらおうと思うんだ」


 自分の言葉で。自分の思いを。本当の過去を。……話していかなくてはいけないんだから。