すべてはあの花のために➓

 ――――――…………
 ――――……


「えらいえらい。よく言えましたー」

「っ。けほ。うぅぅ~……。けほけほ。っうぅ~……」


 頑張ってみんなに自分の話をしたこいつは、何故かオレの膝の上で泣いている。
 ……ん? 何? ああ、カップの話ね。言わない言わない。教えるわけないじゃん。チカなんか鼻血出すに決まってるし。


「……嫌われたっ。もう明日から学校ごないっ……」


 みんなが驚きすぎて固まってるから、こいつは勘違いして嫌われると思ったらしい。


「……ったく、しょうがないな……」

「え? ひな――」


 みんなが早く何か言ってあげないとこいつ、まだぐずぐず言うんだもん。膝の上で泣いてるこいつの髪に、そっと口づけを落とす。
 そしたらもう、みんなものすごい勢いで引き剥がしにきた。しかもオウリにはクロスチョップまで食らわされた。


「……ってえ……」

「ふんっ!」


 修学旅行以来、当たりが強いんだけど。……まあ、こいつが苛ついてる理由がわからないわけじゃない。


「とりゃあああ~!!」


 ま、すぐさま起きて、あいつの綺麗な技裁きをカメラに収められるくらいには元気だけど。オレの義務を果たさないとね。うん。

 それから、あいつを嫌うことなく、みんなの意思が固まった。……取り敢えずは、小さいけど一歩前進。あとはカードなんだけど……みんなこういう系苦手だからちょっと不安。心の中で応援だけしておく。


「(……よかったね。あおい)」


 本当に嬉しそうに笑うあいつを見てよかったと。心底からそう思った。