すべてはあの花のために➓


「変わりたくたって、変われないんだよ」


 変われるもんなら変わりたかった。
 変えられるんなら、ハルナの姿なんか、レンの姿なんか、……借りるわけないじゃん。


「もう、……過去には戻れないんだ」

「お、おい。日向……?」


 もう遅い。もう、……戻れっこない。


「……に、決まってんじゃん」

「……?」

「あいつのこと。……大事に、決まってるじゃんか」

「日向……」

「大切に。決まってる」

「…………」

「……っ、もう。……好きすぎて。どうにかなりそうなんだって」


 それはもう。あいつを見つけた瞬間からだ。


「嫌に決まってるじゃん。……嫌われたくないに。決まってるじゃんっ」


 でも、こんな自分を知ったら絶対。嫌うに決まってる。


「わかって欲しいに。……決まってるじゃん。オレのこと」


 言えないんだ。絶対に。あいつにだけは。嫌われたくないんだって。


「……知らない方がいい。まだ。嫌いになるよりは。怖がってる方がいい」


 でも。本当はそんなのも。嫌なんだって。


「……心配、なんだ」

「……うん」

「大事、なんだよ。あいつが。……っ、オレはっ。あいつがいないと。……っ。オレは。生きていけない……」

「……そっか」

「……好きなんだ」


 もう。……あれで最後だったのに。


「好きなんだって。……もう。おかしくなる、くらい……」

「……ん」

「……。オレは。……あいつが。好きなんだ。……っ」


 嫌いになんて、ならないで欲しい。オレのことも、怖がらないで。


「……っ、ただオレは。信じて欲しいだけなんだっ!」


 こんなやり方だけど。……絶対に助けてやるんだから。


「いや、俺に言うなよ。見て見ろ、おばちゃんたちが変な目で見てる」

「とーまきらい」

「はいはい……」