「だからオレ。今度アオイの家に行くからねー」

『いやいや! 遊びに行くテンションで言うことじゃないよ……!?』

「だってこれはゲームだもん。命賭けてるけど」


 オレらが勝てば、向こうは檻へ。
 向こうが勝てば、……オレらはもう死んだも同然。


「オレの命は、理事長が全勢力を賭けて守ってくれるから安心だよ?」

『いやいや! 流石に中に入られたら難し』

「ヤレ」

『……が。がんばるっ』


 とは言ってはみるけど、正直理事長はアテにできない。使えないって意味じゃなくて、本当に使えないんだ。


「(最初の難関は、あの家にどうやって信用を得るかだけど……)」


 でも、策がないわけじゃない。


「九条さん、一体どうやって家に接触をするつもりなんですかあ?」

「もし誰かが、君側だということを知られたら不味いんだよ」

「……なんで?」

「家にとっての不要物なら、消されるからだ」

「……ああ、そういうことか」

「だから、私たちの誰かに接触をして潜入するのは難しいのよ」

「でも、消されなかったらいいんですよね?」

「え? まあ、そうだけれど……」

「多分大丈夫だと思いますよ?」


 だって家が求めているのは、あいつの時間を削ることができる、使える道具だ。



「しょうがないから、棋士自ら道具になってあげましょう」


 ――――さあ。楽しいゲームのはじまりだ。