『はい。これなーんだ』


 ガラガラと。何かが崩れる音がする。


『流石のあんたも、そういう反応するってことはちゃんと色の意味わかってるんだね』


 どうしてここに来たのか聞いたらわからないって。ここにいるような気がしてって。そう、……返ってきた。


『あ、そうだ。せっかくだし、これにもちゃんと返事してあげるよ』


 ばかだな、ほんと。……なんで来ちゃったの。

 でも、……壊すよ。ごめんけど。


『オレはあんたのこと、『許さない』』


 オレのこと、……許さなくていいから。


『『話』とか、聞きたくもない』


 話とかも。……しなくていいから。


『『友達』とかあいつらで十分。あんたなんかいらない』


 あんたの友達になんて。……なれないよ。


『だってオレ、あんたのこと『嫌い』だから』


 だって。……オレのこと知ったら絶対、嫌いになるんだから。


『だからさっさと『消えて』くんない? あんたなんかいらない』


 ごめん。全部全部。……嘘だから。
 本当に、消えればいいのは……。


『そう、ですか。わかりました。すみませんお手数をお掛けして』


 ――――オレの方だ。


 ――――――…………
 ――――……


「なんでそこまでリボン如きで傷つけられるの?」

「仲良くしたつもりなんかないのに、勝手にオレと仲がいいなんて勘違いしてたから、そんなことされてキツかったみたいですよ。……ほんと、反吐が出る」


 この時も録音してたし、仕事は失敗できなかった。だから、今度こそは泣かせられるんじゃないかって思ったんだ。


「でも、録音だったら全然平気そうに聞こえるんだけど?」

「ああ、そのあと大泣きしてたみたいですよ。まだ泣いてるんじゃないですかね」


 あいつが逃げ込んだ先は理事長室の隠し扉。誰もいないところで泣いていた。……またオレの前で、泣いてくれなかった。


「ああ、そういえばメールが来たかしら。はっ。バッカみた〜い」

「ほんと、そのせいで生徒会の仕事に支障が出たりしたんで、マジでウザいんですよね」


 また仕事は成功。仮面の破壊は失敗。オレは、他のことで壊してあげられることなんてできない。オレが精々できることなんて。あいつを泣かすことくらいなのになあ。


「流石お姉さんを殺されただけのことはあるわね~」

「思い出させないでくれます? 殺しますよ」


 だから、……泣けよ。頼むから。
 つらいんだって。苦しいんだって。……そう、言葉にしろよ。


「こっわ。ま、いい感じね。この調子で頑張ってね」

「はいはい。殺さない程度に頑張りますよ」


 オレは聞いてあげられないけど。でも、我慢だけはしないで。
 こんなことをしてるのには、ちゃんとわけがあるんだ。ちゃんと。理由があるから。


「(……あおい。オレを信じて欲しいんだ)」


 だからどうか。オレの前で泣いてよ。