まだ 寝ぼけ眼の彼らのまわりには

 小さくてかわいいたくさんの花たちが

 彼を隠していた 銀色が 赤色が

 音を拾え終えたハートが

 天からのお茶目な手紙が


 そして


 願いを叶えたミサンガが


 ふたりをそっと 見守っていた。





「……? …………うわ。みんないるし……」



 ゆっくり彼が瞳を開けると

 そこにはにやついた面々。


 それを見てすごく嫌そうな顔をするけれど


 すぐ近くで

 瞳を開けようとしている彼女を見ると

 その頬はすぐに緩んでいた。





「……。ん~……?」



 彼女も 重い目蓋をゆっくりと開けるが

 まだ半分寝ぼけているみたいだ。





 そんな彼女に みんなは小さく笑い

 声を合わせて『おかえり』と

 そう言葉を告げるのだろう。





 その言葉に彼女がハッキリと目を覚まし

 目を見開いたあと

 最上の笑顔で『ただいま』と