「生存確認もできたんで、さっさと起こして帰りましょう。もう日が傾いて夜になります。風邪でも引いたら大変ですから」
「レンくんは、本当にお二人が大好きなんですねえ」
「ほんとほんと! 鬼の形相めちゃくちゃ怖かったし!」
「何言ってるんですか二人とも。あおいさんはともかく九条なんかどうでもいいですよ。そうじゃないと皆さんに入れ替わってることなんて最初に話すわけないじゃないですか」
「素直じゃないなあ」
「ですねえ」
「シン兄、今日は俺のケーキショーをお披露目しようと思うから、その手配もしていてくれ」
「……アキ。やっぱりそれはもう治らないの?」
「こればっかりはしょうがない。これも全部葵のおかげだな」
「はあ。……栄養士さんつけてもらおうかな」
「ついでにチョコレートで葵への愛をプレゼントしようと思う」
「しなくていいから……!」
「なんとなくさ、わかってたんだ」
「ん? 何が?」
「アオイは、ヒナタを選んでやってくれるんじゃないかなって」
「チカちゃん……」
「別に、諦めたわけでもねえよ。諦めらんねえよ。でもさ、嬉しくもあるんだ。わかりにくいこいつのことまで、アオイはわかってやってくれたんだと思って」
「……俺もさー? ヒナくんの不器用さにほとほと呆れてたんだよね。でも、その不器用でアオイちゃんを泣かせたことは、まだ許してないんだー」
「カナ……」
「でも、チカちゃんと一緒。そんなヒナくんに、アオイちゃん気づいちゃうんだもん。俺もちょっと嬉しい。……ちょっとね?」
「そこは素直に喜べや」
「だってまだ諦めてないもん」
「……ま。それはオレもだけどな」
「ねえー。これからアオイちゃん、いっぱい困っちゃえばいいんだよ」
「あーちゃん。これでもう本当に助かったんだね……」
「そうだね。もう冷たくなんないよ。……本当によかったあ」
「おれが治してあげるって言ったのにな。何もしてあげられなかったや」
「そんなことないよ! あおいチャンは、みんなで助けてあげたんだから。おうりもちゃんと、治してあげたんだよ」
「……そうだよね。うんっ。これからいっぱいあーちゃんとちゅーする!」
「え……。流石にそれは、もうあおいチャン嫌がるんじゃない……?」



