『お疲れ様ー! あたしなんか借りなくても、もう全然大丈夫そうで安心したよー』
気持ちよさそうに、くかーっと爆睡している二人を見てくすりと笑う。
『いや~、お姉ちゃんは心配で心配で夜も眠れなかったぞ? いや、寝なくてもいいんだけど』
それでも、寄り添って幸せそうな顔をしている二人を見て。本当によかったと、そっと胸を撫で下ろす。
『つばにいもさ? 流石に女にはなれないよね~! めちゃくちゃ美人だけど、やっぱりかっこいいつばにいの方がいい! 本当にありがとね、はなちゃんっ』
そっと彼女の頬を風が撫でる。くすぐったいのか、ほんの少し身を捩った。
『……絵本、読ませてもらったんだ。裏の、びっちり描かれてた方。だから、なんとか助けてあげたいなって、そう思ってたんだ』
今こうして助けられた彼女を見て、よくやったと弟をめちゃくちゃ褒めてやりたい。
『言葉も届かないのがもどかしいけどね? 流石にはなちゃんに憑いちゃうのもダメだし。……きっと、今のひななら、あたしがどんなこと思ってるか。もうわかるよね?』
捻くれ者も、彼女といたらちょっとは治ってくれるんじゃないかと期待してるけど。ま、きっと無理かもね?
弟の銀色を、そっと風で揺らす。そしたら少し眉間に皺が寄ったけど、それもすぐに戻ってしまった。
『本当にお疲れ様。言ったじゃん。ひなにしかできないんだって。あたしは信じてたよ? ひななら絶対助けてあげられるって。はなちゃん……あおいちゃんも、信じてこいつのこと、待っててくれてありがとう。生きてたらお友達になりたかったよおー……!! また是非会いに来て? 今度は全員でねっ!』
ほんの少しだけ強い風を吹かせ。二人の上に、小さな花びらを散らせて……。空に浮かぶ、一番星になった。



