過去を振り返るのが怖かった。言い訳なんてできない。それだけ酷いことを、たくさんの人を傷つけてきた。

 幸せだと思ったら、すごく険しい道になった。
 寂しいなと思ったら、手を伸ばしてくれる人がいた。
 安らぎを感じたら、急に悪天候になった。
 怒りに飲み込まれそうになったら、目の前の大きな背中が庇ってくれた。
 感謝しようと思ったら、崖から突き落とされた。
 罪悪感に苛まれれば、背中に温かさを感じた。

 愛しいと気づいた時には、目の前は真っ暗になった。


 今まで以上につらかった。でも、今まで以上に幸せなのは確かだ。


 はじめは小さな小さな第一歩。それが多くの人に支えられ、大きな一歩が踏み出せた。
 踏み出すのが怖かった。それでも、みんながいたから踏み出せた。

 ……みんなのおかげで。こんなにも幸せな道へ踏み出せた。