葵へ
初めまして! ……とは違うか。
なんて言ったらいいのかな? ま、なんでもいっか!
こうしてちゃんと自己紹介をしようと思ったのは、きっと今、あなたの隣にいる彼が、あなたのために一生懸命わたしのことまで調べてくれたからです。
わたしの本当の名前は、望月紅葉と言います。生まれつき虹彩が赤く、紅葉のような色の瞳を持って生まれたから、そのまま名前をつけてもらいました。
あなたにとっては、この赤が不吉な色だったことでしょう。だからあなたは、赤を極力身につけることさえ控えていましたね。
でも赤は、決して悪いイメージばかりではないですよね? それはきっと、葵もわかってると思います。今度からは、赤も好きになってあげてくださいね。
実は、あなたとヒナタに話をした中に、お茶目が混じっています。
あなたは覚えていますか? わたしがあなたを助けようとした時に話した言葉を。きっと覚えているんだろうけれど、『あなたをもらう』ってところの方が印象が強くて、気にも留めなかったのかも知れませんね。
海に捨てられるようなあなたは、きっと愛を知らないと思った。
言ったでしょう? 『あなたは愛を知らないの。とってもあたたかいものよ』と。体に乗り移って、助けるまではあなたが望月だと思っていたから、名前も隠してあげようと思ってあなたの口から望月を封じようと思いました。
それはとんだわたしの勘違いでしたね。本当にすみません。でも、この話には実は続きが……と言うよりは、最後の一言まで聞かずに葵が気を失ってしまったから慌ててたし、言いそびれちゃったんだけど。
『もし、呼んでもらえなかったら、わたしはあなたをもらうわ?』
……そう言ったあと、『できるならそうして人生やり直してみたくもあるけど』って言おうと思ったんです。いや、ほんと。ごめんね。
だってだって! そんなただの霊にそんなことできるわけないでしょう!? 望月って言ったって、流石にそんな能力ないわー……。できるのかな? と、取り敢えずわたしにはできなかったので!



