すべてはあの花のために➓


 きっと、彼のそばにいる限り。ずっと『好き』と『ありがとう』という言葉が、たくさんたくさん飛び交うんだろう。先のことを考えられる今が、とても幸せだ。


「あれ持ってる? お守り」

「え? ……どうして?」

「その中に鍵入ってるから」

「ええ!? ……そうなの?」

「うん。何でか先に鍵が出来たんだって。まあ、本体もほぼ出来てはいたんだけど、微調整があったらしくて」

「……最後は曖昧だなあ」

「それですごいの作っちゃうんだから怖いよね」

「うん」


 取り敢えず、がさごそと大事なものがいっぱい入った鞄を漁る。


「大きな鞄だけど、何が入ってんの?」

「わたしの大事なものいっぱい。処分されちゃうの嫌だから、レンくんにわたしがもし消えちゃったら、その時に処分してって言ってたの」

「……全部残ってるからね?」

「うん。それ聞いてすごい嬉しい! 早くシントのとこ行かないと……あれ?」

「え。まさか無くしたとかじゃないよね」

「いや、違くて。……なんか、手紙が入ってる。二通」

「え?」


 ヒイノさんにペンダントを返した時は気が付かなかった。急いでたからかも知れないけど……。


「……!! モミジさんだ!」

「え? ……ちょ、どういうこと?」

「もしかしたらレンくんが入れてくれたのかも! 持って来てもらうようにお願いしてたから!」

「……二通って?」

「わたしとヒナタくん!」

「オレも? ……なんだろ。読んでいい?」

「うんうん! わたしも読むー」


 そうして二人して、同時に彼女からの手紙を読んでいたんだけど…………。


「「ええーッ!?」」


 二人して同時に驚きの声を上げて、二人してその声にビックリする。


「え。ひ、……ヒナタくん。なんて書いてあった……?」

「あー。なんでごめんって言ってたのかよくわかったー」

「え。無視ですか」

「ごめんごめん。……オレはね、まああんたとこれから仲良くね的なことが書かれてた。……取り敢えず。あんたは?」

「わたしも、ヒナタくんと仲良くね~的なことが書かれてたよ? ……取り敢えず」

「………………」

「………………」


 二人して、何も言わず、手紙を交換して読み合った。


「……マジか。意味わかんないんだけど」

「流石にこれは。……お茶目どころで済む話じゃないね」


 二人して、バサ……ッと花畑に倒れ込む。


「そうだよね。ちょっといい加減な線引きとかあったもん。特に最後……」

「わ、わたしはそこら辺のことはよく知らないけど……え。ねえ、これって本当にモミジさんが書いたのかな」

「知らないよもおー。めっちゃ焦ってやったのに……!」

「……でもモミジさん、天使さんだね?」

「は? ペテン師の間違いでしょ?」

「流石にそこまで酷くはないでしょ。だって、キューピッドさんだもん」

「……いや、当事者のあんたがそんなんならオレは何も言えないじゃん」

「取り敢えず、……お疲れ様だったね。ヒナタくん」


 上半身を起こして、彼のふわふわの頭を撫でてあげた。