すべてはあの花のために➓


『『え』』

「……ねえ。久し振りに話す第一声がそれでいいの」

「も、……元はと言えば、ヒナタくんがそうやって話を振ってくるからで……」

『『……あおい?』』

「……!!」

「ほら。呼んでるよ?」


 話は聞いても、やっぱりまだ、ちょっと怖い。でも、背中をそっと支えてくれるから。ゆっくりと、声を出してみる。


「……おとう、さん……?」

『……!! あおいっ』

「おかあさん……!」

『……。あおいっ……』

「……。っ……」

「……望月はどうなったんですか?」


 それ以上言葉が続かなくって、ヒナタくんが話を続けてくれた。


『なくなるとか、そういうことはないんだけど、そういう習わしに関わった人たちは連れて行ってもらった。あとは公安に任せることになったんだ』

『そういうことがなくなるのは難しいかも知れないけど、人ではないものに代用したり、血に関してももう酷く縛りはなくなると思うの』

「そうですか。……それで? 晴れて二人はやっと結婚ですか?」

『そうなんだ! 長年の思いがついにっ!』

『……? 何のこと?』

「あ。クルミさん? 実はカナタさん、婚姻届初めから出してなかったみたいなんですよ」

『え』

『ああー! ひなたくん……!!』

「だから、クルミさんが泣きながら書いた離婚届も最初から意味なかったんですって」

『……あなた。詳しく話を聞かせてもらいましょうか』

『く、くるちゃん! しまって! 角しまって……!!』


 昔よく聞いていた、懐かしい会話。いつも賑やかで、笑顔が絶えなくて。思い出すのが嫌だったはずなのに……。今はもう。たくさん溢れてくる。


「クルミさんはこちらへ来られるんですか?」

『ええ。この人とのことを認めてもらうまで居座るつもりよ』

『大丈夫だ! 絶対に首を縦に振らせてやるんだから!』

「普通に考えて有能株ですよね」

『『え?』』

「だからそれを推したら会社としても安泰じゃないですか? 朝日向って、そこまで相手の地位とかに厳しいんです?」

『………………』

『あなた……?』

「ま、二人がまた縒りを戻してくれることを誰よりも待ってる奴がいるんで。いい報告、聞かせてあげてくださいね」

『『もちろんっ!』』

「………………」

「あー」

『『え?』』「……?」

「そろそろ電池がなくなりそうだー。言いたいこと、今の内に言ったらどうかなー」

「……! お、おとうさん! おかあさん……!!」

『『あおい……!』』

「あ。……あの。あのね? 話したいこと。いっぱい。あるの……」

『わたしたちもよ』

「あの。ね。……今日は。道明寺で。パーティーしようと。思ってるの」

『行く行く! 今すぐそっちに帰るよ!!』

「うんっ。……待ってるね? いっぱいいっぱい。話そうね?」

『『大急ぎで向かうよ(わ)!!』』

「それじゃ、お待ちしてますね。気をつけて来てくださーい」

「……!? ひなっ、……んんっ」

『『……??』』

「……ま。また改めて挨拶に行かせてもらいます」

『『――!! 待ってるよ(わ)ー!!』』

「もっ。もおー……!!」