すべてはあの花のために➓

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『一カ所に集めて説明する?』

「だって面倒くさいでしょ。いろんな人に度々言うの」

『場所はどうするの?』

「どうしましょうか。海棠でもいいですけど、家族丸ごと関わってるのは皇なんで、シランさんに交渉してみます」

「でも、俺らは皇には行けないよ?」

「うん。だからさ? テレビ電話的な何かで話せばいいと思うんだ。声だけだったらどんな人が話してるのかわからないから、その方がいいと思う」

「……確かに、それでしたら何度も自分たちがしてきたことを話す手間は省けますねえ」

「うん。何とかして全員掻き集めて、皇に集めるよ」

「どうやってするんだ」

「……脅す?」

「取り敢えず一回はお願いをしてくれ」

「それはもちろんだけど、……でもオレ、駒にするのにみんな脅して手に入れてきたしな」


 この時、みんなは駒になった人たちに心の中で謝罪を入れていたらしい。


「でもなんとかするよ。というか、皆さんに“その時”にまた連絡するからって言ってるから、覚悟はできてると思う」

『そっか。じゃあ、その時みんなに話したらいいんだね!』

「うん。……でも、気をつけて話して欲しいのはその順序だ」

『確かに。それを間違えでもしたら、きっと全員が味方ではなくなるね』

「はい。なので気をつけて話して欲しい。それから、オレがしていたのはあくまであいつの名前を探すことと、本当の意味で助けてあげるために全員を集めたこと。オレが道明寺に乗り込んだこととかは言わないでくださいね。ぶっ殺されるんで」


 主に父さんに。ただでさえ、そういう噂がある分、父さん道明寺を毛嫌いしてる節があるし。


「最初に説明できるのは理事長とオレ。それから、ミズカさんとヒイノさんにもわけは話して、少し自分たちのことを話してもらおうと思います」


 まず集めた原因。オレが駒にする時点で話してはいたから、何となくはわかると思う。


「大方の進行は理事長がしてください。オレは話したい時に話すんで」

『そこは随分曖昧なんだね……』

「みんなの話を聞いて、補足があればその都度話す予定でいます」

『そうか。うん。わかったよ』

「それから最初に、あいつがオレらに話してくれた会話を録音してるんで、それは聞いてもらおうと思います。そうしたら話せることも増えるし」

「録音なんかしてるの!?」

「あれ? 言ってなかったっけ。初めは、ちゃんとあいつ自身の口からみんなに話をしてもらおうと思ったんだけど、全然話しそうにないからさ。だから、録音した分を聞いてもらおうと思ったんだ。これもオレの考え。あいつが嘘を言ってない限り、あいつの口から話してることには変わりないからそうするべきだって、最初に言ったんだ」

「……でも、あおいさんの様子を見ていて思うが、やっぱり自分がしてしまったことは絶対に話さないだろう。一番話さないといけないところだけどな」

「そう。だから、悪いことをしてるのはオレもちゃんとわかってる。でも、そうでもしない限りあいつは怖がって話さないから。……オレは、みんながちゃんとあいつのことを助けてくれるって信じてる」


 それに、本当の本当に最後まで話さないなら、みんなに録音をしてもらった分も聞いてもらおうと思うけど、それはオレがしたくない。

 ……罪を被るのは、オレだけで十分だ。