すべてはあの花のために➓


 ――そして、5月1日の夜。本当に『全員』が、皇へと集合した。


「……日向。全員って……」

「その通りでしょ。全員。ね?」

「お前には文句が山ほどある」

「それは理事長に言ってね。オレは動けない二人に変わって動いてただけだからねー」


 その日、皇へとやってきたのは、本当に全員だった。

 皇は、もちろんだけど、シントさん、シランさん、カエデさん、それからアキくんと“サクラさん”。
 五十嵐からは、シオンさん、マサキさん。それからカナと、当日は来られないけどサラさん。あとはもちろんユズも。
 九条からは、父さんとツバサ。母さんも、薬は服用中なものの、捕まってはいないので“ハルナ”と一緒に来てくれた。
 二宮からは、ナズナさん、アサジさん、チガヤさん、アカネ。
 柊からは、フジばあと、“トウヤさんとスミレさん”、そしてチカ。
 氷川からは、エンジュさん、カリンさん、“タイジュさん”とオウリ。あとは理事長。
 桜庭からは、アカリさん、サツキさん、それからキサと、朝倉からキク。
 桐生からは、アヤメさん、ナツメさん。それとトーマ。
 そして、西園寺からはもちろん、ツバキさん、イブキさん、カツラさんにも来てもらった。多分みんなして『……誰?』ってなってると思うけど。


「ね? 全員でしょ?」

「い、いや。それはいいんだけど……」


 過去の話はしていたものの、サラさんに会えてシオンさんが軽く暴走していた。それをカナとマサキさんが必死に押さえてるけど、……なんだかんだで楽しそうだ。
 あそこも、時間はかかったけど縒りを戻すんじゃないかと思う。サラさんも、『いつかこんな日が来るんじゃないか』って。オレから連絡があった時に、電話の向こうで涙を流してた。


「……全員、日向が集めたのか」

「まあね。あいつを助けるためにはしなくちゃいけないことだから」

「……全員、葵と関係があるってことか」

「それはまあ、本人たちからの連絡を待つことにしましょう」


 これから、長い長い、本人たちからの話が始まるんだからね。

 と言っても、本人たちは向こうで違う準備をしていたりするので、一日のうちで話せる時間は限られている。でも、いろんな人に何度も説明するもの大変だし、その人その人で話す度に話し方が変わってしまったりする。そうして欲しくはないから、本当に皆さんには無理を承知で、この十日間は完全にここへ来てもらうようにしたんだ。

 ……それに、来てくれたのはこの人たちだけじゃない。


「あ。……ミズカさん。ヒイノさん」

「「ひなたくん……!」」


 何故かオレが目に入った途端に抱きつかれた。苦しい。


「ちゃんといつ連絡が来るかって心構えしてたのに! 全然連絡して来ないんだもの!」

「え? でも、随時報告はしてたじゃないですか」

「もっとオレらは使ってもらえると思ってたんだ!」

「あ。野菜美味しかったです。送ってくれてありがとうございます」

「そうかそうか! それはよかった!」

「(扱い易っ……)」


 それでも、みんなはこの二人を知らない。まずは、この二人の軽い紹介から入らないといけないかな。