でも、そんなことをするなんて異例中の異例だ。どうしてこんなことができたのかというと……。
「勝手で悪いけど、文化祭の賞品使わせてもらったから」
そんなものあったっけと、みんなは首を傾げている。
「……あ! もしかしてひなクン、コンテストの……?」
「そうそう。生徒会メンバーに、理事長が何かしてくれるって言ったやつ。……ま、ついでにキクも混ぜてあげたけど」
「どーもー」
「でもここが使い時だろ。今使わないでいつ使うんだよ」
「そう言ってくれてありがとうツバサ」
電話でのアレというのはこのことだ。前以て理事長とは話をしてたから、スムーズにいけた。
「でも、新歓自体の日程は変わってないんでしょ? どうするの?」
「ああそれなら、他の引率の先生と、何名かの生徒に任せることになったよ」
「い、いつの間にそんなことしてんだよ……」
「ん? 学校始まってからだよ?」
「先生はまあ何となくわかるけどさー、どうやって生徒かき集めたの? そんなのほいほいみんなやってくれるわけ」
「釣り方はいろいろありまして」
そう言うオレの意味深な発言に、みんなが目を見開いたまま固まっている。……一体、何をしたのかと。
「え? 普通にさ、Sクラスじゃない人たちには、『理事長から卒業後の援助をしてもらえるよー?』って言っただけだよ?」
そう言ったらみんなして安堵の息を漏らしてた。
「……ま、“Sクラス以外の人には”だけど」
みんなが嫌な予感に震え上がったのは言うまでもない。
「さてと。今話せるのはこれくらいかな。あとは“本人たち”に話してもらった方がいいですよね先生」
みんな知りたがってたけど、知らない方が身のためだと思ったんだろう。どうやって釣ったのかは、結局聞いて来なかった。
「そうね。あとは本人たちから話をしてもらいましょう」
「……あの、本人たちってなんだ」
「そのうち分かるよ秋蘭くん。……あと、信人くんと紫蘭さん、楓くんの方にはもう話は済ませているんだけど、1日からは全員、皇で10日までお世話になるからね~」
「え。……聞いてない。というか10日まで? しかも、全員って……」
「アキくん。プレゼントは開けてみてからのお楽しみだよ」
「絶対プレゼントでも何でもないだろう。……はあ、その日になったら話してくれるのか?」
「もちろん。いやー話が早くて助かるね。流石元次期当主」
「取り敢えず日向に文句があり過ぎるから殴っていいか」
「あ。それは理事長が代わりにしてくれる手筈になってるから、そっちに吐き出してね」
「ええ?! 日向くん!? それは打ち合わせで聞いてな――ぐはっ!? ぐえっ!? ぐほっ!?!?」
そう言ったら、みんなして理事長を殴ったり蹴ったりし出した。やっぱり盾があってよかったー。
「……ま、当日のお楽しみってことで」



