――――――…………
――――……
理事長室。ノックなんてもうしない。だって彼も、オレらが来るのを待ってるんだから。
……ガチャリと、大きくて重い扉を開ける。いつもは開けるのなんて嫌だった。ヤケに大きすぎるし、無駄な力使うし。
でも今は、すごくこの扉が軽く感じる。
「(……ま、気の持ちようか)」
だって今、この扉の先には、念願の時が待っているんだから。
「待ってたよー!! マ○カしよ」
「ふざけんなよ」
思い切り踏み潰してやった。背中だったらまた『気持ちいい』とか言い出すから、今度は完全に頭を。
「ヒナタ!? やりたくなる気持ちもわかるけど流石にやり過ぎだ!!」
「あ。わかってくれるー? ほんとね、毎度毎度この調子だとさ、いつ鋭利なもの持って来とこうかなって思うよね」
「いや、それは思わねえ」
「あ。そう? 残念」
でも、何となく今日もこんなことするんじゃないかなって思ってた。だって理事長は、そういう雰囲気を払拭しようとしてるから。だから、いつも助かってる。不本意だけど。
「痛たた……。流石に頭のツボは足じゃ押せないよ日向くん」
「押すつもりありませんからね」
こんなやりとりをするんだ。何度も会っているということは、少なからずみんなには伝わったはずだ。
「さあみんな、座って。少し話をしよう」
みんなは首を傾げながらもソファーに座り込んだ。
「ごめんミノルさん。遅れたー」
「ああ。菊もちょうど来てくれてよかった」
大事な話をするというのに、時間にルーズなキクは取り敢えず睨んでおいた。理事長はキクも座ったのを確認したあと、ゆっくりと話をしてくれた――……。
❀ ❀ ❀
「理事長には今もやってもらってるんですけど、全校生徒、オレら、花咲の人たちを、抜けがないように守ってください」
『うん。もちろんだよ』
どうやって守ってるのかは知らない。……だから恐ろしいんだけどね。
「もし手がいるようなら教えてください。いつでも増やせるんで」
『そうかい? だったら、その時は遠慮なくそうさせてもらうよ』
理事長は、もしかしたら何となくわかったのかも知れない。だって、海棠が助けを求められるようなところと言ったら、たった一つだから。
「それとは別に、……その時が来たらみんなに話をして欲しいんです」
『日向くん。私は彼女のことは……』
「あいつ自身のことじゃなく、4月いっぱいで学校に来られなくなるのはどうしてか。それをみんなに話をして欲しいんです」
『……そこまでは言われていないから、大丈夫かな?』
「あともう一つ。アレを使わせて欲しいんですけど」
それを言ったら、『もちろんだよ!』と、すごくいい返事が返ってきたからほっと息をついた。
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理事長室。ノックなんてもうしない。だって彼も、オレらが来るのを待ってるんだから。
……ガチャリと、大きくて重い扉を開ける。いつもは開けるのなんて嫌だった。ヤケに大きすぎるし、無駄な力使うし。
でも今は、すごくこの扉が軽く感じる。
「(……ま、気の持ちようか)」
だって今、この扉の先には、念願の時が待っているんだから。
「待ってたよー!! マ○カしよ」
「ふざけんなよ」
思い切り踏み潰してやった。背中だったらまた『気持ちいい』とか言い出すから、今度は完全に頭を。
「ヒナタ!? やりたくなる気持ちもわかるけど流石にやり過ぎだ!!」
「あ。わかってくれるー? ほんとね、毎度毎度この調子だとさ、いつ鋭利なもの持って来とこうかなって思うよね」
「いや、それは思わねえ」
「あ。そう? 残念」
でも、何となく今日もこんなことするんじゃないかなって思ってた。だって理事長は、そういう雰囲気を払拭しようとしてるから。だから、いつも助かってる。不本意だけど。
「痛たた……。流石に頭のツボは足じゃ押せないよ日向くん」
「押すつもりありませんからね」
こんなやりとりをするんだ。何度も会っているということは、少なからずみんなには伝わったはずだ。
「さあみんな、座って。少し話をしよう」
みんなは首を傾げながらもソファーに座り込んだ。
「ごめんミノルさん。遅れたー」
「ああ。菊もちょうど来てくれてよかった」
大事な話をするというのに、時間にルーズなキクは取り敢えず睨んでおいた。理事長はキクも座ったのを確認したあと、ゆっくりと話をしてくれた――……。
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「理事長には今もやってもらってるんですけど、全校生徒、オレら、花咲の人たちを、抜けがないように守ってください」
『うん。もちろんだよ』
どうやって守ってるのかは知らない。……だから恐ろしいんだけどね。
「もし手がいるようなら教えてください。いつでも増やせるんで」
『そうかい? だったら、その時は遠慮なくそうさせてもらうよ』
理事長は、もしかしたら何となくわかったのかも知れない。だって、海棠が助けを求められるようなところと言ったら、たった一つだから。
「それとは別に、……その時が来たらみんなに話をして欲しいんです」
『日向くん。私は彼女のことは……』
「あいつ自身のことじゃなく、4月いっぱいで学校に来られなくなるのはどうしてか。それをみんなに話をして欲しいんです」
『……そこまでは言われていないから、大丈夫かな?』
「あともう一つ。アレを使わせて欲しいんですけど」
それを言ったら、『もちろんだよ!』と、すごくいい返事が返ってきたからほっと息をついた。



