「取り敢えずレンはあいつ支えてやって。みんなの前では絶対に倒れないようにしてると思うから、それ以外だといつどうなるかはわかんない」
『わかった』
「あ。あとレン、アオイには言った?」
『何をだ? 今さっき起きられたから、まだ何も話してないんだが』
「そっか。だったらオレから言うね。……アオイ? シントさんも結局駒になったから」
『……? ああ、アオイってわたしか。そっかそっか~。シントにも話したんだね。……あ。アレ使ったの?』
「うん。ばっちり。でも『名前』言ってもわかんなかったみたいだから、アオイだってことシントさんは知らないよ」
『そ、そうか……。まあシントもこっち側にいてくれたらすごい安心だね!』
「うん。シントさんもこれからの作戦に協力してくれることになったから、その時もスムーズに行くと思うよ」
『うんうん! そっか~。わたしもしっかり準備しておくね!』
「うん。そうして?」
『それじゃあ九条。彼女は今から仕事をしに行かないといけないから』
「あ。そうなんだ。大変だねアオイ」
『うん。まあ嫌だけど、そんなに作業自体は残ってないし、今月には終わらせられると思うよ。もうしないでいいと思うと、すごく嬉しい』
「うん。させないよ。……だから、もうちょっと頑張って」
『ありがとう! それじゃあね! また明日!』
『それじゃあな』
どうやら、仕事前に掛けてくれたらしい。レンも気が利くじゃん。
「また明日、か。モミジからそう聞けるってことは、あいつも寝ることにしたんだな」
残りは一ヶ月を過ぎた。……それまで、もう少しだけ。頑張って堪えて。
今日は百合との交流会。アイとカオルが来る日。
演技って疲れるからあんまりしたくないんだけどなー。シントさんとの話の時も疲れたし。目が合ったら笑っちゃったし。まあ普段からそんなに表情が表に出るわけじゃないし、それなりに頑張ればいっか。
「(寝てるけど多分、ご飯食べてない……)」
あれからというもの、うっすらわからない程度にあいつは化粧をしてきていた。だから、睨むようになってしまうけど、よく見ないと顔色の具合とかがわからない。
レンからは、『突っ込もうと思っても、自分がどっかの穴に突っ込まれそうになるくらいの殺気が漂って近づけない』って言ってた。まあそれは言いすぎだと思うけど。でも多分精神的にキテるから、食べ物が喉を通らないんだろう。そうさせたのはオレだ。レンが申し訳なさそうにする必要はない。
全部の責任はオレにある。だからたとえ……。
「ぼくは、アイさんの付き人の日下部 薫と言いますう。そしてそして」
「改めまして。俺の名前は道明寺 藍。道明寺家の、本当の子どもです」
一旦二人を、そしてレンを、あいつの敵だとみんなから思われるようなことになっても。桜が、混乱に陥ったとしても。全部あいつを助けるためであり、オレのせいでもある。
交流会をしなければ、アイたちの立場が危うかった。だからこうするしかなかったけど、みんなからしてみたらやっぱりパニックだっただろう。
でも、これでいい。そうすればみんなは、あいつと話をしようとする。それで今度はあいつが……みんなからも追い込まれることになるんだから。



