「絶対犯人はひーくんでしょ! ひーくん!! 覚悟ー!!」
「ぐはっ」
一人でぐるぐるそんなことを考えていたらまた、オウリのクロスチョップが飛んできた。
「え? え?? ひーくん?? だいじょうぶ??」
「あ? え? オウリ? ……あーうん。大丈夫。目覚めた」
何にも身構えてなかったから、完全に受け身も取れずに体中がめちゃくちゃ痛い。……でも、目は覚めた。確かに。
「(いいんだ、これで。これが、……オレのやり方だから)」
レンに、空いた時間に連絡をくれるようにメールを送ったあと、アンケートの集計をした。
「……関西ぶらり旅、ね……」
案は、どうやらあいつのものに決まったようだ。でも、あいつは行けない。その日はちょうど、あの日とガッチンだから。
「(それ以前に、今月いっぱいまでしかあいつは来られない。……はあ。言いたくないからっていつまで引き延ばそうとしてるの)」
まだみんなに、新歓が行けないことを伝えられてない。それは、最初から決まっていたことなのに。
……いや、諦めてないんだ。諦めてないから、ギリギリまであいつは言わないのか。
「(……信じてて。絶対に、助けてあげるから)」
絶対にまた、三人で。あの向日葵畑、見させてあげるから。
――夜中。レンからではなく、モミジからやっと連絡が入った。
「ちょっとさ、無理矢理寝かせらんないの」
『無茶言わないでよ……!』
でも、どうやら部屋にレンもいるみたいで三人で話をする。
『それで? どうしたんだ九条』
「マジで倒れるくらいなら、気絶させるぐらいの勢いであいつを寝かしつけてもらおうと思って」
『どう考えたって、あおいさんが気絶する前に私が気絶させられるだろ』
「そうだね。レンちゃんか弱いもんね」
『ヒナタ! 多分もうあおいはちゃんと寝るから! 遅れては行くと思うけど心配しないで!』
「……心配するに決まってるじゃん」
『ヒナタ……』
「でもさ、なんで倒れるまで寝ないのあいつ。馬鹿なのやっぱり」
『『……それは……』』
「……? なに。何かあるの」
電話の向こうの二人は、すごく渋っているようだ。
『ヒナタが心配するからって、レンは黙ってたんだ。だから、責めないであげて欲しいんだけど……』
そう言ってモミジは、小さすぎる声で教えてくれたんだけど。
「…………」
『や、ヤバいよレン! 絶対明日……というか、もうヒナタと会わない方がいいと思う!』
『ですよね。私、きっと誰よりも先に、あいつに殺されますね』
「ご飯も食べずに! 一睡もせずに! 筋トレしたり徹夜でアニメぶっ通しで見とったらそりゃ倒れるわアホー!!」
『『あ。アホとか言ってるから、取り敢えずは大丈夫そう……』』
「馬鹿じゃないのねえ。ほんとに馬鹿なんじゃないの」
『わたしもそう思う』『私もそう思う』
誰がどう考えたって倒れるでしょ! たとえ自分が人間離れしてたとしても!
「……ほんと。ばか」
『ヒナタ……』
『まあ九条。取り敢えずご飯は今彼女に食べてもらえばいい』
『え? わたし食べないよ? だって今あおいが“食べたくない”って思ってるから、食べても多分全部出る』
『……なんでそんな面倒くさい仕組みになってるんですか』
『別に食べてみてもいいよ? どうなるかわたしもわかんないけど、それで処理をレンがしてくれるなら』
『朝一であおいさんの口の中に突っ込みます』
『うん。賢明な判断だね』
……なんか仲良くなってるし。でも、その中でも睡眠は取ることができれば、あと数日は倒れることはないか。レンが、突っ込められればの話だけど。



