守ると決めたんだ。あの時、絶対に彼は守らないとと。
……決めていたんだ。彼から自分に、接触するようなことがあればそうしよう……って。
決めていた。決めていたんだ。だから今、わたしはそうしただけだ。……そうした、だけなのに……。
「(……。ひなたくんっ。……っ)」
――信じてる。きっと、わたしを助けてくれるって。そうしてくれてるんだって。彼は。……気づいたんだろうって。だからきっと、危険を承知で家に潜り込んだんじゃないかなって。
……信じてるもん。ちゃんと。わたしは信じてる。
「(……。でも。……っ。もう。だめだ。……っ)」
わたしが何かを漏らしてしまえば、彼は家へと報告してしまう。そして、……それを最後に、大好きな彼は。家に。……消されてしまう。
――それだけは、……絶対にしたくない!
目の前にいる彼も、一体何が目的で今やさしくしてるのかなんてわからない。でも今は、そんなこと考えていられない。
ただ、何でかぽろぽろ弱音が勝手に出てきた。それに抵抗する気力もなくて。ただただ、目の前の服が止まらない涙で濡れているのを見ていることしかできなくて。
「(……まもる。まもるよっ。ひなたくん……)」
それがたとえ、拒絶しか方法がなくても。それがたとえ、自分が代わりに消えたとしても。
「(こんな気持ちを抱えて消えられるなら。……わたしは。最高に幸せだっ!)」
こんな気持ちを教えてくれた彼を。何としてでも守りたかった。これ以上、自分に踏み込んでこさせないように。絶対に自分が言わないようなことを、……しないようなことだってした。
「(……。なんで。……すきに。なっちゃったんだろ。……っ)」
心が、抉られるようだった。わかっていても、彼にそう言うことが一番つらくて。
でも決めたんだ。こうすることで、彼に酷いことをしてでも。自分は、彼を守るって。
……守りたいって。思ってるのに――……。



