それから、今後の作戦についてシントさんにもいろいろ相談をして詰めていった。あとは、シントさんがどこまであいつのことを知ってたかとか、オレがどうやって調べてたかとか、『願い』のフォローをしてたこととかを話した。
「そろそろ行きますね」
「まだ6時だよ? 流石に登校するには早いんじゃ……」
「シントさんがこちら側に加わったことを、理事長にも報告するんで」
「そっか。……うん。ありがとう」
「それじゃあ、また連絡します。今度は早く出てくださいね」
「寝てたんだもん。しょうがないじゃん」
「ま、いいですけど」
「何かあったら言ってきて。すぐに対応するから」
「……はい。ありがとうございます」
真っ直ぐに見てくるシントさんにそう答えて、オレは登校したのだった。
「……ほんと、よく似てるよ。自分を犠牲にすることを厭わない。本当に、…………怖いくらい」
似ている二人を思い重ねながら、シントはもう一眠りすることにした。
朝のHRには出ないと、コズエ先生に連絡は入れておいた。
「……ということなんで、シントさんも結局は駒になりました」
「そっか。信人くんもあそこから出てこられたんだね。よかったよかった」
昨日話したことを、理事長にも一応報告した。
「一時はどうなることかと思ってましたけど、シントさん案外大人でした」
「それは、……褒められていないね」
「でも、本当によかった。牢屋の番とかしたくないですから」
「ど、どこまで信人くんを抑え込もうとしてたんだい……」
これからシントさんにも協力してもらって、計画を進めていく。……きっと上手くいく。そうなるように、しっかり下準備はしたんだから。
「それは、わたしから説明します」
生徒会メンバーの発表があって、みんなが理事長室へとやってきた。
あいつの口から、どうして十人なのか。どうして学校を休むことになるのかを話してた。
「(嘘ばかりじゃないけど……)」
体調が悪くなることとか、家の都合とかは本当の話だし。……嘘が付けない割に、頑張って話してる。
「(まああいつの中では『帰ってくる』っていうのが一番の嘘なんだろうけど)」
オレが、その言葉を嘘にはさせない。絶対に。
「……おい、九条」
「ん? 何?」
いろいろゴタゴタした親睦会がなんとか終わって、片付けをしている間に声を掛けられる。
「明日、どうするんだ」
「……どうって、レンの思う通りにあいつを追い込んでくれたら」
「……本当にいいのか」
「うん。まあ、やりすぎと思ったらオレがストップかけるから」
「やる前にかけてくれ。頼むから」
「レンの場合、追い込んでもちゃんとあいつのことを支えてあげてくれてたらそれでいいよ」
「……? 本当に、して大丈夫なのか?」
「うん。レンは、ね」
レンだけは、やる過ぎは禁物だ。……ま、オレがそれ以上のことをしたらいいだけの話だけど。



