❀ ❀ ❀
「私が言ったんだ。もしかしたら、生徒会メンバーと打ち解ける日も近いんじゃないかって」
「だから家は、シントさんに盗聴器を着けたってこと?」
友達だということをバラしてしまえばいいと言ったら、レンがそう教えてくれた。
「ああ。だからあおいさんは、またガッチリ仮り物の笑顔を着けるようになったんだ」
『れ、レン……!』
「あの丘で話してたの聞いてたから、何となくオレらを守るために仮面を着けてるのは知ってたよ」
『うぐ……』
「でもレンは報告しないつもりだし、潜り込めさえすればオレの方に依頼するだろうし、仮面なんか着けなくていいんだって」
『……ちゃんと、葵の口から聞いてあげて。葵も、葵なりに頑張ってるんだ』
「……うん。ちゃんとわかってるよ。でも、あれ着けてて苦しそうなんだ。だからなんとかしたいんだよ」
『うん。……なんとか。してあげて』
でも、問題はシントさんだ。接触しようにも、こうなっては彼が使えなくなってしまった。
『……ヒナタ。あのね? 葵は、シントを解雇するつもりなんだ』
「……へえ。それで? (まあ知ってたけど)」
『それで、近々本当に解雇しようとアザミたちに言うつもりなんだ』
「でも、ただじゃ解雇させてくれそうにないよね?」
「しんとさんは今、死んでるんです」
「え。……アイ。どういうこと?」
「ぼくたちも、一度シントさんと顔合わせというか。そんなことをさせられて、めっちゃ敵視されたんですけどお……」
「(しそうしそう)」
「シントくんは今、死んだってことにされてるの」
「ああ。だから、皇がいくら調べてもわからなかったってことですね」
『そうなんだ。だから、本当に死んだとしても何の問題も無いんだよ』
「……今めっちゃ危ないのシントさんじゃないですか」
『で、でも! 葵はシントを何とか生きてここを出したいんだ! 葵の目的は二つあるんだよ!』
「ん? 二つ?」
婚約破棄以外に、何の目的が……。
「一つは、皇秋蘭サンとの婚約破棄でしょうねえ」
「ま、そうだろうね」
「あおいさんは知らないんだ。本当の婚約者がアイさんだってこと」
「だろうね。アイが息子だとも知らないし」
「だからあおいさんは、彼との婚約を無かったことにして、次の結婚相手を探す時間を確保したいってとこですか?」
『うん。アイの存在を知らない葵は、それで時間が延ばせると思ってるんだ』
「でも、なんでシントくんを皇に戻せば、それで破棄できるのかわかる?」
「え? そういえば……」
『それは、葵の相手が『皇次期当主のアキラ』だから』
「……シントさんを皇に帰して、次期当主になってもらうと」
『建前でもそう言えばいい。この縁談は、アキラが次期当主になった場合の話なんだ』
「なるほどね。それでシントさんに動いてもらうと」
それじゃあもう一つは……?
「私が言ったんだ。もしかしたら、生徒会メンバーと打ち解ける日も近いんじゃないかって」
「だから家は、シントさんに盗聴器を着けたってこと?」
友達だということをバラしてしまえばいいと言ったら、レンがそう教えてくれた。
「ああ。だからあおいさんは、またガッチリ仮り物の笑顔を着けるようになったんだ」
『れ、レン……!』
「あの丘で話してたの聞いてたから、何となくオレらを守るために仮面を着けてるのは知ってたよ」
『うぐ……』
「でもレンは報告しないつもりだし、潜り込めさえすればオレの方に依頼するだろうし、仮面なんか着けなくていいんだって」
『……ちゃんと、葵の口から聞いてあげて。葵も、葵なりに頑張ってるんだ』
「……うん。ちゃんとわかってるよ。でも、あれ着けてて苦しそうなんだ。だからなんとかしたいんだよ」
『うん。……なんとか。してあげて』
でも、問題はシントさんだ。接触しようにも、こうなっては彼が使えなくなってしまった。
『……ヒナタ。あのね? 葵は、シントを解雇するつもりなんだ』
「……へえ。それで? (まあ知ってたけど)」
『それで、近々本当に解雇しようとアザミたちに言うつもりなんだ』
「でも、ただじゃ解雇させてくれそうにないよね?」
「しんとさんは今、死んでるんです」
「え。……アイ。どういうこと?」
「ぼくたちも、一度シントさんと顔合わせというか。そんなことをさせられて、めっちゃ敵視されたんですけどお……」
「(しそうしそう)」
「シントくんは今、死んだってことにされてるの」
「ああ。だから、皇がいくら調べてもわからなかったってことですね」
『そうなんだ。だから、本当に死んだとしても何の問題も無いんだよ』
「……今めっちゃ危ないのシントさんじゃないですか」
『で、でも! 葵はシントを何とか生きてここを出したいんだ! 葵の目的は二つあるんだよ!』
「ん? 二つ?」
婚約破棄以外に、何の目的が……。
「一つは、皇秋蘭サンとの婚約破棄でしょうねえ」
「ま、そうだろうね」
「あおいさんは知らないんだ。本当の婚約者がアイさんだってこと」
「だろうね。アイが息子だとも知らないし」
「だからあおいさんは、彼との婚約を無かったことにして、次の結婚相手を探す時間を確保したいってとこですか?」
『うん。アイの存在を知らない葵は、それで時間が延ばせると思ってるんだ』
「でも、なんでシントくんを皇に戻せば、それで破棄できるのかわかる?」
「え? そういえば……」
『それは、葵の相手が『皇次期当主のアキラ』だから』
「……シントさんを皇に帰して、次期当主になってもらうと」
『建前でもそう言えばいい。この縁談は、アキラが次期当主になった場合の話なんだ』
「なるほどね。それでシントさんに動いてもらうと」
それじゃあもう一つは……?



