「どうも~。やっと自己紹介できますよお。道明寺葵さん?」
「……! あ、なたは……」
「ぼくの名前は、日下部薫って言うのでえ。以後、お見知りおきを?」
――――やっと。やっと、この時がやってきた。
「あおいちゃんバレンタインのチョコ美味しかったわ。ご馳走様」
「……あまみや。せんせい……?」
向こうは、自分たちが王手だと。そう思っているかもしれないね。
「こんばんはあおいさん。クリスマスパーティー、とても有意義でした」
「……なんで。れんくんが、ここに……」
ま、事情はどうあれ。ハートを使ったこと自体、もうアウト。
「どうもあおいさん。クリスマスデート、とっても楽しかったですね! ようやくきちんと自己紹介できて嬉しいです」
「……あい。くん……?」
自分たちが有利だと思ってるでしょ。でもね、残念だけどあんたたちはミスを犯してる。
「は~いそうですよー? お馬鹿なあおいさん。改めて自己紹介しますね。俺の名前は、道明寺藍。あなたとは違う、道明寺の正真正銘の子供です」
一つは、コズエ先生の正体に最後まで気が付かなかったこと。
「あ~! 忘れてました! もう一人いますね? こちら側の人間が。心当たり、あるんじゃないですか~?」
カオル、アイ、そしてレン。彼らが、こちら側の駒だということ。……最後に。
「残念でした~。彼はこのゲームをとても楽しんでいらっしゃいましたから。彼はとってもいい動きをしてくれましたよお」
……さあ。もうゲームは終わりにしよう。
「九条日向さん、ですね~」
このオレを敵にまわしたこと。……後悔するといいよ。



